アフタヌーン・シリーズ第1回に出演する木野雅之さんにお話を伺いました。
↑日本フィル・ソロ・コンサートマスター 木野雅之
●さて、いよいよ7月から日本フィルの室内楽演奏会が始まります。
通常はフル・オーケストラとしての日本フィルを率いてらっしゃるわけですが、
今回のような室内楽での共演をどのように感じてらっしゃいますか?
木野:室内楽の醍醐味というのは、プレーヤー同士で交わされるやりとりや、
一人一人の息遣いをより身近に感じることができる点にある、と私は思います。
よりリアルに音楽を体験できるわけですね。
ですから普段チャイコフスキーやマーラーを演奏している
日本フィルとはまた一味違う、別の面や細かい部分までを
今回のコンサートではお楽しみいただけると思います。
特に今回は杉並公会堂という程好いキャパシティと抜群の
音響を誇るホールですから、様々な面で聴きごたえがあるでしょうね。
●7月のコンサートでは木野さんの所属する「ルガーノ・カルテット」が
共演されるわけですが、このグループについて詳しく教えて頂けますか?
木野:今から18年前に結成されました。それぞれがソリストとして
活動しているスター・プレーヤーであり、そんな彼らと長年世界各地
で演奏をしてきたことで私自身大変勉強になりました。
ヴァイオリンのタマス・マイヨルは数年前にコンサートマスターとして
日本フィルの演奏会に出てもらったことがありましたね。
ヴィオラのエンリコ・バルボーニは、サンタ・チェチェーリア管弦楽団
のコンマスとヴィオラ首席の双方で入団を許可されたマルチタレント
の持ち主です。サッカーのセリエAから控え選手として声がかかった
ほどのサッカーの名手でもあるんですよ。山下さんは私と同じ桐朋学園
の出身。ルガーノ・カルテットで組む以前から彼とは日本国内外で共に
演奏活動をしてきました。みんなお互いに室内楽の楽しみを知り尽くし
ている仲ですね。そんな彼らを今回日本の皆さまにご紹介できることを
非常に嬉しく思います。
●チェンバロで共演される木野さんの妹さん、木野真美さんのことも
是非お聴かせ下さい。
木野:彼女とは小さい頃からずっと一緒に演奏しています。
今はパリに拠点を置いて多くの歌手や様々な楽器と共演しています。
近いうちにアメリカ人歌手とのCDが発売になりますし、
今年末までには私と一緒に演奏している模様を収めたDVD
も出される予定です。
●今回のプログラムでは、《四季》や《カノン》といった超有名曲と一緒に、
日本では珍しいレスピーギの音楽がラインナップされていますね。
木野:ルガーノという地がスイス領でありながらイタリア文化が色濃いこと、
また私自身が近代イタリア音楽を愛していることもあって、
レスピーギ作品をはじめヴェルディやボッケリーニといったこの国の作曲家
の作品をよく取り上げるんですよ。「ドリア調の弦楽四重奏曲」は、
ルガーノ・カルテットでレコーディングも行っています。
今回のコンサートのように、イタリア・バロックの代表格であるヴィヴァルディ
の《四季》とのカップリングも非常に面白いと思いますよ。
まだ日本でレスピーギというと《ローマ三部作》のイメージが強いですが、
この機会に是非他の優れた作品にも触れて頂きたいですね。
まさにバロックから近代まで、幅広い名曲を聴くことができる
コンサートですね。本日はありがとうございました。
山下泰資さん(ルガーノ・カルテット)、木野真美さんからも
今回のコンサートに寄せてメッセージを頂きました。
★山下泰資さん(ルガーノ・カルテット)より
杉並公会堂 アフタヌーンコンサートに寄せて。
皆さん、始めまして!! ルガーノ・カルテットの山下です。
今回、7月18日の日本フィルハーモニーの方たちとの
コラボレーション、とっても楽しみにしています。
木野雅之氏の尽力により、このようなすばらしい企画が実現したこと、
感謝しています。ルガーノカルテットも結成以来、20周年を迎えること
になり、当時は若手新進気鋭のという、うたい文句でしたが、
今は4人のおじさんのカルテットとなりました。
皆さんご存知かどうか、室内楽を続けるというのは、
実は結構大変なことなのです。まず、ゆっくり練習する時間が無いこと。
99%もうからないということ。そして、すぐケンカすること。
よく、ここまで続いたものだと、私自身感心しております。
やはり4人の性格と、音楽に対する姿勢に、共通点があったことが、
幸いしたのでしょう。
今回のプログラムでは、ヴィヴァルディ、モーツァルトと、
古典の曲もありどういうスタイルになるのか、演奏解釈は?等など、
私自身としても興味津々です。また、今回ルガーノ・カルテットが
演奏致しますレスピーギ作曲の“ドリコ”は、
我々のメインレパートリーといっても良い曲ですので、
皆さん、楽しみにしていてください。 では、7月18日にお会いしましょう。
山下泰資
★木野真美さん(チェンバロ)
ヴィヴァルディの四季ほど人々を魅了し、毎日どこかで演奏されている
曲は他にない。毎年季節が巡るように演奏家も聴衆も飽きずに
「四季」を楽しむ。
自然は1年として同じ気候が続かないように、
「2007年の木野雅之の四季」がどんなものになるか楽しみだ。
今年は自然の豊かなルガーノという土地からやってくる人たちが
加わるから、さぞかし彩り豊かでダイナミックな一年を聴けそうな気がする。
「タマス・マイヨルの四季」も東京で感じる季節感とは違って、
生演奏の迫力に、しばしヨーロッパで過ごすような気分に陥るかもしれない。
木野真美